フルフォード博士の言葉


フルフォードにみる健康の秘訣

遠く離れた国アメリカにフルフォードというオステオパシー医師がいました。彼は常に患者に正直に向き合い、既存の知識だけでなく、いかにして人は治るのかというテーマを探求し続けた人でした。
 

数えきれないほど多くの患者を、現代医学とは違う方法で治し、そして多くのオステオパシー医師、治療家に影響を与えてきました。かれは、とくに請われない限り自分の方法を説明することもなく、患者に診断結果や治療法を説明するときにも、常に簡潔なことばをもちい、ただの一度も専門用語は使いませんでした。
 そんな寡黙な男であるフルフォードが書いた唯一日本語訳されている本があります。
翔泳社
 
「いのちの輝き フルフォード博士が語る自然治癒力」

この本は、日本でオステオパシーをしようかという方のほぼ100%近くが持っているのではないかと思います。代替医療全体のバイブル的なものであり、オステオパシーを知る上での最良の入門書といえます。

しかし、全くの専門書ではなく、すべての人が身体のこと、そしてからだを健康に導くための考え方、方法を理解できるようわかりやすく書かれています。

この本は僕かオステオパシーという道に進むきっかけの一つとなった本でもあります。

僕はこのフルフォードという人間の臨床、思想、そして方法論が本当に好きで、大きすぎる程の影響を受けました。

ぜひ多くの方がこの書籍を手に取り、読んでいただくことを望みます。


いのちの輝き  解説

この本は、不思議な本です。

非常に読みやすく、でも月日が経って読み返してみるとまた違った気づきを得れることができます。よく、施術家のレベルにより得れるものが変わってくる、なんて言われます。

一つ一つの言葉に深みがあり、本質の詰まった本。

少しでもこの本の理解と興味への手助けとなるよう、今回は僕がこの本から学び、解釈したことの一部を本の内容を少しだけ引用しながら、説明したいと思います。

僕の個人的な解釈が入ってしまいますが、ぜひこの本を手にとってもらい、みなさんがみなさんの解釈でこの本と親しんでいただけたら幸いです。


気圧

私たちの健康に影響を与えるものは、いくつも考えられますが、気圧というものが影響されることを現代医学ではあまり考慮されていないように思います。

臨床的にこの影響を見ることは多々ありました。
特に脊柱の手術後の方に関しては如実にみられます。天気の変化、気候の変化で、その体調、しびれ、い、痛み、違和感が変化するのは多くの方が経験しているのではないでしょうか。まるで天気予報ではないかと思うほど、雨の少し前には調子が悪くなる、台風になるともう立てなくなるほど体がきつい、頭痛がでる。在宅リハビリを経験し、様々な方の生活を見てきた経験からは、これらのことは珍しいことではない印象を持っています。

 

これに対して、フルフォード博士はこう語っています。

 

「健康とは何かを理解するためには、われわれをとりまく世界にかんする基本的な知識をもっていなければならない。二十八日周期の女性の生理サイクルが月の満ち欠けの影響であるという科学的な研究については、たいがいの人が知っているにもかかわらず、自分の体が自然界にどれほど影響されているかを考える人は少ない。気圧の変化も人間に影響している。この原稿を書いている今、オハイオの平原を嵐が吹きわたっているが、嵐が近づくにつれて、私の呼吸がみだれ、思考も乱れてくるのがわかる。急速にさがった気圧がわたしの体内の複雑な化学反応を変化させ、器官系を緊張させているのだ。」

 

 

季節の変化、気圧の変化に対してからだも変化することは、例えば血圧を毎日同じ時間に同じような条件で測ったりしていると理解しやすいかもしれません。訪問リハビリで日常的に血圧を観察する機会がある僕は、季節の変化、気候などの変化でその値がそれぞれのパターンをもって変化するのを多く見てきました。気圧の変化というものが、私たちが思っている以上に影響を及ぼしている様に思えます。

 

しかし、それを目の当たりにしてしまうとき、ひとつの疑念が浮かびます。

 

逃れようないじゃないか

 

そう思っていたところ、フルフォードの言葉にはっとさせられました。

 

 

「宇宙とのつながりについて理解することで得られる利益はたくさんある。なによりも、自然のいとなみのしくみがわかれば、それを味わい、楽しむことができる。その楽しみが深まるにつれて、自分がどんな環境にいるのかについての理解が自然に深まり、そのことが確実に健康に対するより深い理解につながるのである」

 

 

環境に伴いおこる私たちの体の変化は、もしかしたら私たちの体がその環境に耐えていけるよう体が変化してくれていて、そしてサインを与えてくれているともいえるかもしれません。そして、そのような自分のからだに流れる営みを知ることで、今よりも少しだけ自分の体を大切にすることにつながったり、環境の変化を素直に受け入れるきっかけになったりするかもしれない。そう思いました。

 

もし、そのような環境の変化に伴い、あまりにも苦痛を感じる方は、ひとつのサインだとも言えます。環境の変化を変えることはできませんが、自分を変える、変えていくことはできます。オステオパシーがその手助けになるケースは多くありました。それらの環境の変化に耐えられないほど、心身を消耗してしまっているのかもしれません。そのような時は一度、ご相談ください。

 

 

このようなことも、知らなければ、自分は普通と違うとか、気のせいとかいうもので終わってしまいます。知ることではじめて、今日は天気が悪いから無理しないでおこうとか、いつもよりもゆっくり過ごそうとか、少しだけ自分にやさしくできます。フルフォードはそんなことをさらっと言うのです。

 

                                              2016年11月10日