今後の医療へ

 

  現在、医療の中で「手」を用いて治療にあたれる唯一の職業はリハビリ分野だけです。西洋医学が主流医学となっている今、医療の中で「触れる」行為はどんどん少なくなってきています。アメリカなどはリハビリテーションもマシーンで実施するところも少なくはありません。そういう医療状況のなか、かつて先人たちが使い、素晴らしい治療効果を出してきた「手」を使った治療をなんとか伝承し、伝えていく必要があるのではと思っています。

 

現在の医療が忘れかている「人の肌に触れあう」ことをなんとしても、医療の中で死守していきたい。そう思います。

 

「手」による治療、特にオステオパシーによる治療というのは目をみはるものがあります。

 

脳卒中になってもある程度までは、麻痺は自然治癒によって改善されていきます。全く最初動かなかった手や足も「動く機会」を与えてあげることによって、徐々にその能力の発揮の仕方を再学習していきます。

 

しかし、オステオパシーによる治療はそれをさらに加速させます。これまで見てきた麻痺の治癒の速度とは、明らかに早く劇的にさまざまな症状がよくなっていくのです。もちろん患者さんの障害の重症度によっては、必ずしもすべての患者さんが目に見えてよくなるわけではありません。しかし、総じてみるとやはり明らかに患者さんをよくすることができるものだと確信を持ちました。

 

急性期病院の段階から、すべての疾患の患者に施されていくべきものだと思っています。そうすることで、患者さんの治癒の幅を広げることができるのではと思っています。

 

自分は病院などにおいて、リハビリテーション分野のセラピストというのは、様々な「橋渡し」をする役目をになっていると考えています。患者さんと医者を、人と人を、「手」による治療の歴史をつないでいく役割を持っていると思います。

 

そんな思いもあり、病院から地域にでて、オステオパシーというものを通して、地域の皆様のお役にたてたらと思ました。これはただ、目の前にいる患者さんを治療していれば良いということではないと思います。

 

地域の病院や訪問看護ステーションなどとも連携し、互いの考えを伝えあい、つなげていく、つながっていく。

 

果ては、カフェやトレーニングスタジオ、ヨガなどとも分野に関わらずつながり、考えを共有しあっていく。

 

そんな役割も果たしていけたらと思っています。

 

現在もいまだ医療はバラバラです。医者と看護師でも考えが違ったり、リハビリとほとんど建設的な意見交換がきないことも多いでしょう。しかし自分は幸せなことに、先輩たちがそういったさまざまな障壁を超えて互いに対等な立場で意見交換ができる場所をつくっていてくれました。そんな病院から地域に飛び出したからには、先人たちが築いてきたように、自由に意見を言い合い、互いにアドバイスしあえるつながりをつくっていきたいと思っています。

 

つながりあう

 

国家財産が危機をむかえている現在、医療費をいかに削減してくかは、多く言われるところだと思います。今は病院も安泰ではなく、突然つぶれたりなども珍しいことではなくなってきました。そんな中、今後、実費診療をしている治療院の役割というのが非常に重要になってくるのではと考えます。

 

外来でリハビリをしているところもない。(おそらく今後もっと減っていくのではと考えられます。)

整形外科へ行っても、手術するほどではないと湿布だけ渡された。

など、よく聞く話です。でも、整骨院にしても整体院にしても色々あってどこにいったらいいかわからないというのが実情でしょう。

 

今後医療だけでなく多くのものが「信頼」というキーワードで動いていくと思います。

 

友達の紹介でいいと言われた病院にかかる。あそこの科のあの先生がいい、あの病院はあっちの科がいいなど、質が問われる今、より個人にスポットが当てられるようになるでしょう。

 

信頼できる医療者とつながりあって、様々な健康に対するアドバイスを受けたり、その医療者の信頼する医療者とまたつながったりするような、信頼で結び合う時代になっていくと思います。

 

そういう中でより多くの人たちとつながり、ヨガや治療を通して、 その人らしい生き方のサポートをしていきたい。

 

「かけがえのないつながり」=「media naranja(メディア ナランハ 半分のオレンジ)」

 

そんな輪を何重にもひろげ、結んでいきたいと思っています。