脳の血管が出血(脳出血)または詰まる(脳梗塞)ことによって、脳細胞が虚血状態となり、脳機能に障害を起こすこと。片側の運動麻痺や、失行、失認、視野の狭窄など障害を起こした部位により、様々な後遺症が残ることがあります。
National Stroke Association(米国脳卒中協会)は、脳卒中を疑う人をみたら3つのテストをするよう勧めています。そのうち一つでもあれば、脳卒中を疑います。
Face:笑ってください。
片方の顔がさがっていませんか?
Arms:両手を挙げてください。
片方の手がさがってきませんか?
Speech:簡単な文章を言ってください。
ろれつがまわっていませんか?文章を正しくくりかえせますか?
Time:これらの症状が一つでもあれば、時間が勝負です。
すぐに病院へ行ってください。
・筋力トレーニング
・歩行練習、立ち上がり練習など動作練習
・促通手技
・作業療法
・薬物などによる血圧などの管理
・既存のリハビリの盲点を埋めるオステオパシー
リハビリテーションではたくさんの動作を習い、たくさんの運動をしてきたと思います。
オステオパシーはみなさんのその努力を、より良く伸ばし、加速させるものです。
どういうことか?
ただやる動作練習よりも整えた体でやる動作練習の方が自然で効率のよい動作になる。
より良く動くためには良い姿勢を維持しなければなりません。もしかしたら、くちすっぱく指導されてきたかもしれません。
一生懸命、背筋を伸ばして、良い姿勢を保って、歩く動作、立ち上がる動作など練習してきたかもしれません。でも、それが、一時的にがんばってやったものとなってしまい、実際の日常生活では維持することができない。ということになっていないでしょうか?
なぜ、維持できないのでしょうか?
それはその動作が頑張ってやったものであり、本来の楽な動作になっていないからです。しやすい動作ではないということです。
逆に発想を変えてみて下さい。
それは、がんばらざるを得ないからだになっているとは考えられないでしょうか?
筋膜は上の図のように全身にタイツスーツのようにつながり、体を包んでいます。
それは、伸びがなく外傷やけが、骨折などで癒着や制限を作ります。
その制限や癒着は、その場所だけでなくつながりを通してはるか遠くの筋肉に緊張を与えたり、ズレを作ることがあります。
人の体にはそんな制限や、代償的な緊張がたくさんあるのです。
であるならば、さらに麻痺になってコントロールすることが難しくなった体にとって、それらをできる限り緩和し、動くための余裕をつくることは、必須課題となります。
このような視点はオステオパシーというものが日本に入ってこなければ理解し得るものではありませんでした。
理学療法士として働いていた時このような視点にたって人の体を捉えることは大変難しかったことを覚えています。
自分のリハビリテーション観はオステオパシーという哲学を経て大きく変化したといえます。
そして、さらにもう一つ大切な要素があります。
リハビリテーションとしても大変難しいケースがあります。
それはどのようにしてダラダラになって、力の入れ方もからなくなってしまった筋肉にそれを教えたらいいのか?ということ。
当院は、リハビリテーション現場での経験からオステオパシーの技術をさらに応用し、筋膜のつながりをつかって、体を緩めるのではなく、筋収縮を促す方法を導きました。
走り切って帰ってくるレーサーにメカニックは、
そのレーシングカーの歪んだシャフトやタイヤ
緩んだネジを締め直します。そして、ラグが出て調整の難しくなったプログラムを編成し直します。
そんなメカニックのようにオステオパシーで整えた構造は、体に純粋な神経信号や神経パターンをめぐりやすくなっているといっていいでしょう。
その体に新たにプログラムを組み直すのです。
これは脳に対してのアプローチと言えます。
脳卒中後遺症後の脳は、損傷のせいでこれまで動かしていた筋肉、感覚のプログラムが消去された状態といえます。
しかし、脳に至るまでの信号は通っているのです。
そこに対して徒手的に信号を送ることで新しいプログラムを作っていこと。
これが目的であり、オステオパシーを用いた脳卒中リハビリテーションのあり方だと思っています。
オステオパシーの拡張する感覚は、一部に触れながら、身体の遠いところの活動や、身体のどうさを俯瞰して認知する感覚を与えてくれます。
動作を触診するという特殊な技術は、
皆さんがどう動いているのか、そのくせ、パターンを驚くほど明確に示します。
「なぜこちらが考えていることがわかるのか?」
動作を触診することで、この感覚麻痺のある足がどこまでわかっていて、どこからはバランスを逸しているのか。
そして、リハビリテーション現場にたち続けた経験からどのようにしたらその感覚を広げていけるかが患者さんの感覚的な目線でわかるようになってきました。
コツというのは、子供にスポーツを教えることをイメージしてもらったらいいのですが、感覚的なものです。
それぞれのお身体によって違うし、運動経験によっても、生活環境によっても違ってきます。
それらをそれぞれにあった形で掴むことを最速で促していきます。
脳のリハビリはコンピューターのプログラミングをイメージしてください。
あなたの脳は、一部が残念ながら死んでしまいました。
それが生き返るということは、この世界では不可能です。期待のかかっている再生医療でさえ、
細胞を生き返らせる両方ではありません。
でも、その死んだところ以外を使って、もう一度プログラミングをするのです。
私たちの脳は死ぬまで発展し続けられるだけの余力を持っています。
しかし、その脳をどのように使うかは個人にゆだねられています。
このチャレンジを受け入れるかどうか、それもまたあなた次第です。
脳のプログラミングのポイント
・微細な収縮をセラピストが認知することで、正しい収縮の感覚を本人も覚えていく。
・効率のよい動作のポイントを知ることで、日々の動作から改善する
・脳の使い方は心の使い方。メンタルな状態も整えることでプログラミングのスピードをあげていく。
こころの使い方
正しいこころの使いかた、思考の持ち方を知ることは非常に大切なことです。障害をのりこえていくためには使えるものはすべてつかって、推進力にしていく必要があります。
これまでを振り返ってみると、脳血管障害になられる方は、非常に自分自身に厳しい方が多い印象を持ちます。普通にはこなせないような仕事量をもともとこなされていたり、
自己のストレス状態に気づかないほど、走り続けていた方が多いです。
本質的なリハビリはこころのリハビリも含める必要があります。
自分自身のパターンを手放し、今よりも楽で、落ち着いた心。そのサポートをさせていただきます。